ORCHESTRAL EXCERPTS for TUBA

ジーン・ポコーニー

シカゴ交響楽団主席テューバ奏者であるジーン・ポコーニが録音した所謂オーケストラスタディのCDである。

Orchestral Excerpts for Tuba

Orchestral Excerpts for Tuba

10年の長いブランクからテューバに復帰したのが初体験の管弦楽だったので勝手がよくわからず、教則本やCDやらを買い込んでいたのだが(おじさんはえてして知識から固めようとしがち)オケスタの楽譜集とCDがあることがわかり、早速購入して聴いてみた。

30秒ほどの短い解説(ジーン・ポコーニ本人の声)の後、実演するというくりかえしで全部で24曲収録されている。

シカゴ響は伝統的にヨークモデル(通常の1.5倍の太さ)のテューバを使用しているが、このCDでもほとんどの曲をヨークで演奏しているので、太くてド迫力の音を聴くことができる。

圧巻はプロコフィエフロミオとジュリエットで、唇の振動のひとつひとつがパタパタと判別できるような重低音のff(けっして破綻した汚い音になっていない)で、思わず「スゲー!!」っと叫びたくなる音である。私はこれを聴いて一発でジーン・ポコーニのファンになった。そして「めざす音はこれだ!」と一人で頷いたのだった。

この音に触発されて少しでも近づきたい私は、今まで所有していたB♭管を下取りし、ペラントゥッチモデル(通常の1.25倍の太さ)のC管を購入してしまったのだ。(楽器の見た目だけは多少なりとも近づいた!)

このCD、フルオーケストラをたった一人で制圧することのできるテューバの究極の音がつまっている、至宝の1枚と断言したい。