写譜

 最後に写譜をしたのはいつだろう。


20年ほど前、所属していた吹奏楽団でパレ作曲の「リシルド序曲」をやったのだが、あろうことかテューバの楽譜がいつものC調ではなく、B♭調で記譜されていたのである。(余計なお世話!?)

今でこそC読みでもB♭読みでも両方できるようになったが、当時は読み方の訓練をする時間もなく、そのままでは演奏不可能なので、仕方なくC調記譜に移調写譜したのだ。


勿論20年前ならコンビニでコピーをすることだって一般的だったわけだけれど、いかんせん移調だけは自らの手でするしかない。だからこれが今のところ自分にとってラストの「写譜」。


就職したころ職場でコピーといえば「青焼き」だった私の場合、中学生のころはコピー機の存在すら無く、配られた楽譜は愛用の12行五線紙ノートに写譜するしかなかったのだ。勉強や宿題は大嫌いだったが「写譜」は夢中になってやった。


テューバをはじめたとき、ト音記号の楽譜ですら読むことのできなかった音楽落第生だった私が、割合早くテューバの楽譜が読めるようなったのも、また基本的な音楽記号の意味がわかったのも「写譜」のおかげだったし、全く予備知識のない新曲の場合、「写譜」をすることによって大体の曲の感じをつかむ事ができた。


今の時代、誰でも必要に応じて手軽に簡単に楽譜のコピーができるが、より曲の理解を深めようと思ったら、「急がば回れ!」で丹精込めて「写譜」してみるのもいいかも知れない。



私個人は「リシルド序曲」があまり好みではないが、ギャルドの演奏はすごい。

デュポン楽長時代の至芸I

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