管楽器の名曲・名盤

200CD 管楽器の名曲・名盤

200CD 管楽器の名曲・名盤

この本は11人の音楽ライターがそれぞれ管楽器に対する愛情をこめて、管楽器が主役の名曲・名盤を紹介している。

1997年の出版だからCDの情報がちよっぴり古いかもしれないがそうそう新曲で名曲が出現するわけでもないだろうから曲の紹介面では問題ないだろう。

テューバに関する記述としては予想通り「ジョン・フレッチャー」のソロCDに触れており、最高の管楽器奏者の一人として賞賛されている。(当たり前だ!)

その他、さすがその道のプロが情報提供するだけあって相当マニアックな曲やCDが魅力的に紹介されており、時折挿入されるコラム(オーケストラでの業界用語の説明等)がまたいい味を出している。

この本で最も共感を覚えたのは、「第5章 吹奏楽の楽しみ」である。
章の冒頭、磯田健一郎氏は吹奏楽の地位向上について非常に力のこもった論説を展開しており、いちいちうなずくことばかりで、胸がスカッとする。

さらに国塩哲紀氏のエピソードとして、国塩氏が大学時代、コウディルの「吹奏楽のための民話」を演奏しようとしたら、その噂を聞きつけたオーケストラの管・打楽器の連中が熱烈に参加を希望し、みんなで涙しながら演奏したとのくだり、「さもありなん」である。

他にも、吹奏楽オリジナルの知られざる名曲や意外な事実(クラシックの大作曲家が編成上結果的に「吹奏楽」を作曲していた等)を披露しているのでその史実に基づいて演奏会を企画するのも面白いかもしれない。


管楽器奏者に送る、お勧めの一冊。