ソクラテスの皮肉

ソクラテスの皮肉

ソクラテスの皮肉

食わず嫌いという言葉があるが、私にとって「バリチュー」はまさに演奏したこともなければCDを聴いたこともなく、ユーフォニウムテューバだけのアンサンブルなんてドロドロモゴモゴしていて何をやっているのか訳がわからないものだと思っていた。

が、このたび、いつもお世話になっているT市民オーケストラのinutaさんからお見舞いとしてこのCDをいただいたので、生まれて初めて「バリチュー」を聴くはこびとなった。

このCDは、あの「ソリッドブラス」の村田陽一氏がプロデュースをしている上、録音やミックスの仕方が所謂クラシックのそれではなく、プレイヤー各々の音がはっきり(カスカス音まで!)とリアルに聴き取れる。また、全体的にジャジーな雰囲気が漂っていて、「バリチューオタ」な方は真剣に、そうでない一般の方はBG的に気楽に聴くことのできるものとなっている。

参加メンバーの中で特筆すべきは、世界的ユーフォニウム奏者である外囿祥一郎氏で、勿論名前は従前から知っていたのだけれど、演奏を聴くのはこれが初めてで正直驚いてしまった。そもそも音を文章で表現するのは難しいのだけれど、その超絶技巧とドライで張りのある音は、例えてみれば、ユーフォニウム界のロジャー・ボボといったところか。

結論として、今まで食わず嫌いだったバリチューも、このCDの存在によって私の中の認識が改まり、条件(選曲、編曲、メンバー等)が揃えば、はまりまくる可能性が出てきたのだ。

しかしながらバリチューは、CDを聴く分にはいいけれど、「へたっぴ」アマチュアが手を出すにはハードルが高すぎるかも・・・。